2015. 4月25日 (土) ~ 5月25日 (月) 会場:油や1F「蝙蝠」*油やプロジェクト共催
その夕暮れほど私の魂を鎮めたものはなかった。…白い蚊帳の中に身をまかせきったように寝ついている堀辰雄さんと、蚊帳越しに追分の野の暮れてゆく日を惜しみながら、久しぶりに私たちは本当の話をしたように思う。
ー中里恒子「柘榴を持つ聖母の手」より
中里が堀の住む追分を訪ねた時、彼は結核を患い病床に臥せりながらも、その語りから執拗にまで強烈な自己を放っていた。文学や宗教に始まり芸術・文化の話をぽつぽつとしながら、「蚊帳の内」にいた二人がぼんやりと見ていた光景について考えてみようと思う。
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金箱淳一◎Junichi KANEBAKO
北佐久郡浅科村(現佐久市)生まれ。岩手県立大学、情報科学芸術大学院大学卒業。玩具の企画業を経て、現在、女子美術大学・筑波大学講師。身体と感覚の拡張をテーマに、電子楽器の制作からビデオインスタレーションまで幅広く展開している。
http://www.kanejun.com/